サイモン・グレイシー『国境なきUFO』

ルクレール: でも、サイモン・グレイシー、君はどこから来たの?

SG: 私はレバノンでメキシコ人の母親とレバノン人の父親の間に生まれました。私は主にフランスで育ちましたが、レバノンとは強い絆を保っており、メキシコには家族もいてよく行きます。 2年間も住むことができました。今ではすっかりパリっ子になった気分ですが、私の家族をとてもユニークなものにしているこれら 3 つの文化を大切にしています。

L: あなたの主な芸術的な出会いは何ですか?

SG: パリ音楽院や海外の先生をはじめ、私を今の私に押し上げてくれた人はたくさんいます。しかし、もちろん、私の親しい友人や家族も、この人間的な温かさは、表現活動に身を投じるアーティストにとって不可欠な柱であり、アンカーポイントです。また、ポップスやクラシックのアーティストにもとても感心しています。しかし、私にとって何よりも重要なピアニストがいます。それは、人生の大部分を米国で過ごしたロシア人のウラジーミル・ホロヴィッツ（1903-1989）です。彼の演技、気質、そしてコケトリーの両方を通して、私は彼に多くの共感を覚えます。彼は当時のちょっとした「ファッションの犠牲者」でした。彼はきちんとしたおじいちゃんのような生活を送っていたと同時に、80歳になってもコンサートの後はスーツと蝶ネクタイでナイトクラブに出かけるなど、完全に退廃的な生活を送っていた。彼は、リッツからベートーヴェンを経てシューマンに至るまで、最も古典的なレパートリーに自分の奇抜さをどのように持ち込むかを常に知っていました。彼の演奏方法には独特の酸味があり、彼のやんちゃな気質を反映していることがよくわかりました。

L: 子供の頃、クラシック音楽はあなたにとって啓示でしたか?

SG: それは一夜にして思いついたわけではなく、一連の出来事から生まれました。父は弁護士、母は心理学者ですが、いつも音楽とともに生きてきたことを覚えています。それが実践されなかったとしても、とにかく耳を傾けました。家にはクラシック音楽が流れていて、とても音楽好きな雰囲気でした。私たちはコンサートを見に行きました。モーツァルトがたくさん。たくさんたくさん！私は音楽が大好きだとずっと思っていましたし、一人っ子だったので自分だけの時間がたくさんありました。家にピアノがあって、私が3歳か4歳のときは、ピアノを叩いてメロディーを出していました。このことは、私がレッスンを受けるようにしてくれた両親から逃れることはできませんでした。当時はそれが職業になるとは知りませんでした。明らかに、それはただの情熱でした。 12歳か13歳で初めてコンサートをするまでは。ステージの経験は…爽快でした。これが私の啓示です。数年間、私はプレッシャーを感じずに人前で演奏していました。大好きだったからです。私が卒業した年、友達はこの後どうするのかと心配していましたが、私は副業で何をしていても、音楽のために生きないのは自分に対する裏切りになると理解しました。

L: 近年の特定のパフォーマンス、優雅さに感動したと感じたコンサートを覚えていますか?

SG: 時には例外的な瞬間もありますが、そのうちの 2 つは私にとって特に際立っています。なぜなら、それらは本当に感情的なものだからです。最初の出来事は、少し前にニューヨークのカーネギーホールの小部屋の一つで起きた。私は緊張し、幸せで、プレッシャーを感じていましたが、これまでにないほど解放されました。おそらくカーネギーホールは初めてだったので、たとえ狭い部屋であっても「やった、やった、そこにいる」という次元でした。廊下を渡り、エラ・フィッツジェラルド、ホロヴィッツ、ニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の監督、ロストロポーヴィチ…通り過ぎた人々全員と、同じステージで演奏している最年少の私の写真を見ました。とてもとても強かったです。今年、カーネギーホールに戻ったとき、今度はメインホールでしたが、その感情は同じではありませんでした。

そして2016年末、ベルリンのベルリン・フィルハーモニーで何かが起こりました。最初の音から部屋全体が私と調和していると感じました。これは、ベルリンが 2 つに分割されていた時代に、西ベルリンがいかに時代を先取りしていたかを示すために、やや未来的な方法で建てられた特別な部屋です。ステージが部屋の真ん中にあり、観客が周囲にいるので、ちょっとした世界の中心のような気分になります。あまりにも良い音だったので、最初の一音から部屋全体が旋風に変わったように感じました。

L: 3枚目のアルバムですが、最初はユニバーサルと…

SG: それは間違いなく「ヘリテージ」と呼ばれるでしょう。私を築いたすべてのものだけでなく、私がとても大切にし、クラシック音楽の中に非常に存在しているこのヒスパニックの文化遺産にも言及しています。クラシックは、シューマン、ベートーヴェン、ドビュッシー、シューベルト、モーツァルトにとどまりません。

すべてはラテンアメリカへの旅行から始まり、ブラジル人のビジャロボス、メキシコ人のアルトゥーロ・マルケス、キューバ人のエルネスト・レクオナとともに始まりました。それから私はこれらのラテン作曲家をヨーロッパ、スペイン、またはフランスの作曲家と結び付けました。ドビュッシーは、作曲の中で、スペインがそれをよりよく聞き、当時の印象派のメロディーでそれを転写することを夢見、想像していました。私はヨーロッパ文化とラテンアメリカ文化の間だけでなく、アンダルシアを通しても架け橋のようなものを作りたかったのです。つまり、私のルーツである中東、レバノンを反映した東洋的なサウンドもあります。それは真の音楽的な身分証明書です。

L: ジュリアンとのミーティングはどうでしたか?この写真家を選んだ動機は何ですか？

SG: 私はジュリアンのことをオペラダンサーとの仕事を通じてしか知りませんでした。私は彼の活動、つまり体の動きに関する研究がとても好きです。私がユニバーサルと契約し、このファーストアルバムの制作に取り組み始めたとき、すぐにジャケットの問題が浮上しました。彼らはすぐにジュリアンのことを思い出し、私は素晴らしい結果が得られるかもしれないと自分に言い聞かせました。私たちは飲み物を飲みながらすぐに会って、すぐに意気投合し、結果がそれぞれの期待に応えるものであることを二人とも知っていました。

スタイリングの問題が残りました。私は Leclaireur の名前とコンセプトは知っていたので、Julien が Leclaireur チームについて話したとき、私たちにとって答えは明らかだと思いました。ステージ衣装はすでに持っていますが、大したことも新しいこともありません。ジュリアンとレクレールは、個人的なタッチを加えながら、私の世界に完璧に入り込んでくれました。結果は素晴らしいと思います。

L: この選考はどのようにして行われたのですか?

SG: ユニバーサルやドイツ・グラモフォンのようなビッグネームの場合、有名なデザイナーの衣装を着て、新しいイメージを想像することはもう少し正当なものでした。ルクレールのセレクションは独創的で風変わりなもので、特にこのコム デ ギャルソンのジャケットはすぐに気に入りました。

フィッティングや撮影中にお気に入りがたくさんありました。動きたいというジュリアンの欲求に応える必要があった。しかし、私たちは色も探しました。このアルバムはヒスパニック系の作曲家と音楽に基づいて構築されており、スペインと言えば色だと言えます。で、話は戻りますが、このコム デ ギャルソンのジャケットはまさに啓示でした。それは私が自分の音楽に込めたすべてを表しています。古典主義と華やかさの組み合わせ、ユニークでありたいという願望です。ジャケットのボディは完全にクラシックで、明るいストライプのダークスーツジャケットですが、袖は特別で多用途で、調整できる衣服です。それが私が望んでいたものです。

L: サイモン・グレイシー、最後にこの道でのファッション・ステートメントをひとつ教えてください。

SG: そうですね…奇抜であるためには、ダリダのようにスパンコールや羽を身に着けてステージに上がる必要はありません。燕尾服に白黒の蝶ネクタイをしてピアノの前に座る必要はありません。私は自分の芸術的イメージを奇抜さと冷静さの上に築き上げました。たとえば、私はクリス ヴァン アッシュとドリス ヴァン ノッテンが特に好きです。このミックスで成功し、今でもステージで衣装を着ている 2 人のデザイナーです。これがレクレールで見つけた、このバランスです。あまりのことに私は心が折れそうになりました。アルバムのリリースを記念して、3 月 4 日、私は何枚かの写真で着ている魅力的なコム デ ギャルソンのジャケットを着て、シャンゼリゼ劇場のステージに上がる予定です。

L: ロックスターみたいですか？

SG: ロックスターみたいですね！

サイモン・グレイシー著『Héritages』（ドイツ・グラモフォン）2月17日発売。

写真家：ジュリアン・ベンハム
アシスタント: ジュリアン・パネティエ、ラファエル・ルーカス
メイクアップ＆ヘア: Lola Herbiniere Seve
グランジ・マーティン乗馬センターに感謝